ちいさな/木屋 亞万
く浮かんでいく
目の前には
瞳に砂をかけられたような
満天の星空が広がっている
小さな粒で空が溢れそうだ
星が飽和している
ぐちゃぐちゃと法則性もなく並ぶ
煌く虫のように呼吸のたびに瞬いている
星を監視するのではなくて
もっと安らかに
緊張感などしまったままで
ただただ空を眺めていられたらいい
ちいさな女の子はそのような歌を口ずさみながら
私の身体へ帰ってくる
新聞配達のバイクの息継ぎの音が聞こえて
私の顔に太陽の指先の光が届き始める
ちいさな女の子は腸骨に戻ると
膨らんだ膀胱に
ぶいんぶいんと二度ほどタックルをして
眠りについた
私はしぶしぶ身体を起こして
あたたかい布団から抜け出し
のそのそとトイレに向かう
今日もまた騒々しい一日が始まるのだ
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