世界にはどうしてこんなにたくさんの音が溢れているのだろう/ホロウ・シカエルボク
んなところは嫌だといつも思うだけで、こんな風に送られるのは嫌だなといつも考えるばかりで…雨は何度も調子を変えながら世界を濡らし続ける、まるで身体の調子を確かめながら時々ピッチを上げるスイマーの様に、ブレイクの後で出番を待っているドラマーの様にイキりたってさ、隣の空家の屋根に出来た水溜りで雨粒がステップしている、その音は陰茎でなにかをはたいている音によく似ている、ねえ、世界にはどうしてこんなにたくさんの音があるんだい、何もしないでいるとこの世は音だけで出来ているような気さえしてくるんだ、世界は鳴り続けている、世界は鳴り続けている、打ち込まれた釘の様に存在する時の肉体の痛みだけがその全てを聞くことが出
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