世界にはどうしてこんなにたくさんの音が溢れているのだろう/ホロウ・シカエルボク
 



曖昧な空間に出来た亀裂の中に身体を溶かして連続する呼吸はまるで推敲の足りない台本の様に不規則だ、何を言っているのかまるで聞き取れないスピーカーの音量に辟易しながら広告をやり過ごす様な時間ばかりが過ぎた、朝遅くに降り始めた雨が生みだす薄暗さは正当な日常の感覚を麻痺させる、打ち込まれた釘の様に存在し続ける肉体の痛みはまるで断末魔だ、連続する流れが一度途切れる、連続する流れが一度途切れる、その静寂の中に潜むものに耳を澄ませてはいけない、そこからは禍々しい真実ばかりが溢れ出してくる、荘厳な醜悪がその中には潜んでいる、白昼の電灯の明かりではきっと確実な認識は望めない、綿の様に仕方のない実体として
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