青空の刃/さすらいのまーつん
から
影がなければ あのアイスクリーム売り場の
可愛い女の子の顔だって 随分とのっぺりしてしまうだろうし
第一 憂いがなければ 喜びもなくなる
俺は首を逸らして 空に話しかけてみる
指の間のタバコが じりじりと熱い
なあ 勘弁してやれって
全ての影を 退治しようだなんて
お前さんだって 灰色に曇る日があるだろう
そんな時が たまらなく疎ましく感じられるのは 俺にも分かるよ
だけど 影がただ暗いというだけの理由で 虐待するのは良くないぜ
やつらは好きで暗いわけじゃない そう生まれついてしまったという 唯それだけのことに 過ぎないのさ
それに いつも物事を上からしか眺め
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