ジュネのため息/御笠川マコト
 
眺めてもらっている
僕は男だから
それはそれで淋しい時もある。

プシュー、プシュー、器械の音が
昼間に聞こえたら
ジュネのため息
夜中に聞こえたら
ジュネの寝息

ベッドの脇で波打つのが心電図
ジュネが生きているサイン
僕らがきちんと流動食を届ければ
その頬のピンク色は
永遠にでも続くのだろう
そして
ジュネの周りでも
時間は確実に流れていて
昨日は制服を着た同級生達が
可愛い文字が並ぶ寄せ書きを持ってきた
ジュネの母親が
眼鏡をかけているのは良かったんだ
微笑みの中に紛れなかった涙、
気づいたのは僕だけだろうか。

プシュー、プシュー、器械の音が
昼間に聞こえたら
ジュネのため息
夜中に聞こえたら
ジュネの寝息


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