旅路/yuko
予め
蕾は刈り取られていた
頭上を
越えていった
鳥の名前を知らない、
車輪のあとに立ち尽くす
わたしの肩を抱いて
そっと
目を伏せたあなたの
手と、
手を
重ねると
波の音がするね
ほら、
あなたのうなじから
流れ出した川が
ゆるやかに大陸を二分していく
わたしを
蝕んでいったものたちを
みんな同じだけゆるしたい、
いつわりの
切符を切る
たび
サファイアの花に
指先がきれてしまうけれど、
真夜中の台所で
針を刺し
縫いつけた子宮で
夜明けに
開く花を捨てた
先は
果てのない海で、
わたしは
人間の
空どうに根を
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