系統樹/yuko
小さなころの記憶が
なくてそれは
当たり前のことだのに
問い詰めた先生は血を
責めてわたしはいたたまれない
まま自動ドアに挟まれた
影
が折り重なって
肥大していく樹
を
描いた
「
画面、
中央で指揮をする彼女は白と黒の衣装を着て
いる。音楽は高いところから低いところへと
順に流れ、ワルツを踊る人々は嘘の気配に気
付いている。緑のドレス、赤のドレス、孔雀
の羽…ことわりもなく侵入してきた指揮棒の
先が窓ガラスを割って、水面を流れていく長
い髪の白い(影に飲まれてしま う)
背景
」
わたしの
中のわたしが
喚き散らす
騒音に耐えかねて
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