荒野の白袴/木屋 亞万
ずれも余震でしかなかったと
後々思い返すこととなる
感情は少しずつまとまって波を起こし
淡白で透明な水は
徐々に塩気を増していく
濁っては澄み
温まっては冷め
矛盾だらけの海になる
走るのは
堂々と立ち止まるため
疲れるのは
安らかに眠るため
生きるのは
なるべく遠くで朽ちるため
意味を求めることが救いになるならば
好きなだけそうすれば良い
途方も無く重なりあう絵柄を好むか
味気ない無地の着物を好むか
どちらを選んでも誰にも迷惑はかかるまい
できるなら放物線のような
ゆるやかな人生が良い
草むらに残された白球が
風雨にさらされて
割れていくように
私の骨の持ち主は
とうの昔に
心のことなど
忘れてしまっている
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