particle glass rain./雅寛
突然降り出した、
ガラス色の雨。
失恋の涙にも似た、
ガラス色の雨。
梅雨の終わりに降り出した、
ガラス細工の雨。
雲というガラスが砕けた、
ガラス細工の雨。
傘を差している背の低い老紳士。
このガラスの雨に濡れない様に。
差し出す傘もない僕と君は、
成す術もなく雨に濡れている。
ガラス状の粒子が降り注ぐ。
僕の長い髪を切り裂いていき、
金に濡れてキラキラした、
僕の髪の残骸と、
キラキラした君の髪と。
眼球を傷付けて目が見えないけれど、
君を探して手を差し出す。
君を幸せにする事も、恋人で居る事も、
出来なかったけれど。
ガラス状の粒
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