アダージョ/Lily Philia
春、一斉に花びらひらいて
みんな
死んだ冬のこと
忘れてた
あたしを殊更に
どうかさびしく
絶えずその
可愛いつむじの辺りを
くるくると廻っている
おもかげのような
ひとひらを
あなたは
降る木漏れ陽の
慈しみ
ほんとうに
あおくあおく睡り続け
その腕に死ぬのなら
貝殻のような手足を持ち
なお、いっそうに
みえてしまう
幽霊のような光が
束になって押し寄せる
「おじょうさん、
肩に花びら乗せて
どこどこゆくの?」
「あたしは
浄土へゆ
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