聖域/
草野春心
君は知ることはできない
僕が
何処に
何を
この手で刻印したのか
たとえ君が鏡の前に立ち
口を開け、そっと覗き込んだとしても
君は見ることができない
それはまた、
もう一つの聖域の話
君の瞳は優しげに微笑んでいる
君の髪は後ろで束ねられている
君の頬の内側が血に濡れてゆく
僕の右手は
ボールペンを手にして
震えている
もっと、
ずっと、
奥のほうまで
そう
願って
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