マドル・へディド/DNA
ほら、聴こえるね
あの泉の谷から滲みだす
さまざまな色のことばたち
煌めきながらばらばらに
散っていった無数の肉体 その
かけらのなかを通過していく
衣擦れのような音が。
渇いてしまう、
ようやっと辿り着いた
名を与えられてはいないが
いまだひかりの残る
ことばの裾野から
拾われた椅子のもとへ
ゆっくりと 燃えてゆけ。
次第に明るみだけが
喉もとを照らしだし ひりひりと
貼付いていた声たちの在り処、
ひとつまたひとつ降り積もって
少しばかり湿り気を残したまま
土塊のうえ、
折れそうに分裂する。
愚かで、いつものらくらしていた
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)