眠ったままのなかの思考/ホロウ・シカエルボク
 
ろうか?路面電車が残していく振動は暫定的な目的ばかりを連想させる、小さな切符と投げ入れる小銭にどんな理由があるのかなど、本当は、誰も…明るさと入れ替わるように生まれてくる冷たい風、肌の表面の温度を巨大な蛭のように舐めつくして、袖を探すけれど見つけられない、もう少し寒くなるまで多分探そうとは、しない、小さな用事を片付けることを考える、ほんの少しのあいだ、なにも思わずに天井を眺めていよう、白いクロスのなかに夜のかげが見えたら人間に戻る準備だ、音楽が流れ続けている…呼吸が身体の中を流れてゆく音が聞こえているのならたぶんまだやることが残っている。





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