眠ったままのなかの思考/ホロウ・シカエルボク
明るいところでいつまでも暮らせない、小さなしるしがなくなれば、ひとは、くらい路地の真ん中でひとり佇むかげになる、ほんのわずか、外界と自分を区分する薄い膜のせいで、聞こえる音が見える世界が少しだけ遠い、柔らかい氷河のような崩落がどこかで続いてる胸中を知る、椅子の背もたれの中で四次元的な隔たりが身体を動かなくさせる、西日はいつも痛みのない惜別のように見える、睡魔が先だと誰かが言う、まずは話が判るまで眠るがいいと…だけど表通りで誰かが道路を掘り始める、スピーカーのボリュームを、あげる、どんなに繰り返していてもはっきりと耳にしていたい、そういうものこそを本当は音楽と呼ぶ、小便を済ませると目
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