うたうように眠りたい/塔野夏子
 
君の生まれた十月の国で
うたうように眠りたい

銀木犀のしずかなかおりが
漂う夜気に包まれて

丘を木立をぬって流れる
川のせせらぎを聞きながら

  幼い君が 少年の君が
  夢にあらわれてくれたらいいな

閉じた瞼のはるか上の
星のめぐりを感じながら

君のほほえむ十月の国で
うたうように眠りたい





戻る   Point(7)