縄文土器/草野春心
 


  縄文土器を
  保健室に忘れてしまい
  取りに戻った
  夏の日



  熱く
  熱く光は燃え
  廊下を歩く人たちも
  ブラスバンドの行進曲も
  そう仕向けられているようで



  保健室には
  人影なく
  スチールの机の上に
  土器だけが残されていた
  消毒液の匂いはなぜか
  殺人現場を思わせた
  窓がすこし開いていて
  カーテンがはためいていた



  ぼくはきみを抱きしめたかった
  何度も
  何度も
  何度も




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