縄文土器/
草野春心
縄文土器を
保健室に忘れてしまい
取りに戻った
夏の日
熱く
熱く光は燃え
廊下を歩く人たちも
ブラスバンドの行進曲も
そう仕向けられているようで
保健室には
人影なく
スチールの机の上に
土器だけが残されていた
消毒液の匂いはなぜか
殺人現場を思わせた
窓がすこし開いていて
カーテンがはためいていた
ぼくはきみを抱きしめたかった
何度も
何度も
何度も
戻る
編
削
Point
(9)