交わすひと/恋月 ぴの
 
夢とか希望って軽々しく口にしてはいけないよね

これでも恋わずらいなんだろうか
鬱陶しさに心は暗く沈んでしまっているけど

なんだか身体は心模様とはうらはらに
不思議と元気みなぎっている

あの坂の上までなんて嫌だな

軽やかな足取りはわたしの意志など知らん顔

病は気からだったよね

大きくカーブするその先は平坦なはずだったのに
まだまだ先は長いとだらだら坂は尾根伝い

知らぬが仏

なんか違う気もするけど
昨日までのわたしを引き摺ることなく

今日は今日
明日は明日の夢とか希望がある

晴れあがった秋空はそっけなさが持ち前で
そんな優しさに何
[次のページ]
戻る   Point(26)