秋冷/千波 一也
 

車窓からみえた
数羽の白鳥

つめたい水に
ああしてきれいに
浮くまでに
どれほど
ためらったことだろう
どれほど
しつけられたことだろう

わたしの知らない習わしが
見慣れたつもりの
水辺に憩う


季節は
しずかに冬へと渡るけれど
この移行は
終わりなのだろうか
始まりなのだろうか

確実な
足跡が満ちてゆく
広い空の下でわたしは
こころもとなく
答を見出だそうとして
しずかに
置き去りになる


わずかに
葉を残した木々

土へと戻ることを
予告するかのような
草原のいろどり

すずやかに晴れわたり
ようやく思
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