道7/……とある蛙
顔を切るような寒風の中、薄目を開け足元を見れば舗装されているが、罅割れの多い凸凹道を
前のめりと言えばかっこ良いが、吹き飛ばされないよう歯を食いしばって風の吹く方向に足を踏み出して歩いている。
無駄骨折りに挫けてしまいそうな季節をやり過し、新たな年に決意無く、無事事が運べばというみみっちい願望だけで生きて行くのだから、女房から愛想つかれて出て行く家も綯いもので、
本当の悲しさを感じる前の絶望をやり繰りしている。
もう歩き始めて幾とせ 道の終いらしき桜の古木
太い幹のゴツゴツした 根元に辿り着いた俺はその場所がちっとも暖かくないことを知って深く吐息をついた。
また歩かねばならないのか っと そこは峠のようなところで峠を超えて開けてきた風景はぬかるんだ田舎道が一本、今まで歩いてきた道は凸凹道、いずれにしても荒れ地。馬鹿馬鹿しい気持ちを持ちながらまた歩きだす。いやでも季節は過ぎて行くのだ。
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