せかい、ばらーど、/ballad
せかいのばらーど
わたしがまだかたちをもたないみずだったころのきおく
のなかにふくまれてしまったかわいそうなちいさないきものたち
わたしがうまれるためにうしなわれてしまったおおくのよろこび
そしてかなしみのなかでながされるなみだをふさぐためのこのて
このからだをとおりぬけるためにわたしのたましいはちいさく
しぼんでてにつかまれたゆびあいだでもがくためにはやしたことば
がかべにぶつかるおとをきくためにみみをそしてそのみみをみるために
ひとみをひとみのあじをしるためにくちをあしさきからてがはえることの
なかったわたしのからだからたましいがぬけない
いまわたしはひとつのらっかとなってこのせかいにぶつかる
じゅうりょくはわたしがまとったさいごのりょうど
せかいのはじまりはけっしてきめごとからではなかった
きめられたのはせかいがつくられてからこのせかいのためではない
わたしたちのためにきめられたまますてられた
わたしはぶつかるためにうまれて
らっかしつづける
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