白い、バラード/ballad
 
白いものに名前を与えようとして、黒くなる。その瞬間に何もかもが台無しになるかのように、燃え始めて、私は水に混ざる。流れていく中で、多くの人が私を掬おうとして零れ落ちていった私を見つめた。彼らの手に掬われた私の一群が彼らの喉を通る。そして彼らの内臓と混ざって、もう一度吐き出されてから私と再度混ざるための記憶を思い出すことの旅。私は水に慣れなかったものたちのための流形。私に含まれるあらゆる微細な生物達と共に過ごす時間。私は眠り。土を削ってその痛みを感じないものたちの群島。私の中で音を立てて膨れ上がっていく苛立ち。私は怒りの中で留まるための窓。
戻る   Point(0)