言射し/伊月りさ
 
肩は明らかに
導線をみつける
この壁は
水平線よりも
成層圏よりも
隔たった自由
あなたの掌が覆う瓦礫の山は
なんて生命に溢れていることだろう
半世紀近く腰を据えた
壁はぽつぽつと
しかし、余すことなく
小さいものから順に反射させて
あの日、わたしはそれにみとれたのだった
やわらかい壁を
いまなら積み上げられるような気がする

傷口は もう
潮風に痛まない
くいちがい続ける
わたしたちを見失わないように
孝行のように
言葉を止めてはいけないのだ
吹き飛ばされないように
世界をはね返す、はね返す

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