瓦礫の上から/伊月りさ
とえば夜襲と昇格が築いた家に
あのひとならどんな表札をつけるだろうか
さぁ
骨の間に詰まっている
巡る重量で
はちきれるまで
言葉になってはならないよ
この芋虫を
トランクに仕舞ったまま卵を産む
羽がすべて抜け落ちても
おまえを啄ばむことがあってはならない
瓦礫の上はすべて有精卵でなければならない
そんな決まりごとも
初夏の登頂のように包まれる
大きな風のように
走り去って
赤ん坊のわたしを
組み伏せた細胞にもどる
つながるむずかしさをもっとはりつけて
大きな風のように走り去って
戻る 編 削 Point(5)