瓦礫の上から/伊月りさ
 
とえば夜襲と昇格が築いた家に
あのひとならどんな表札をつけるだろうか
さぁ
骨の間に詰まっている
巡る重量で
はちきれるまで
言葉になってはならないよ

この芋虫を
トランクに仕舞ったまま卵を産む
羽がすべて抜け落ちても
おまえを啄ばむことがあってはならない
瓦礫の上はすべて有精卵でなければならない
そんな決まりごとも
初夏の登頂のように包まれる
大きな風のように
走り去って

赤ん坊のわたしを
組み伏せた細胞にもどる
つながるむずかしさをもっとはりつけて
大きな風のように走り去って

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