やきつくす/
オオカミ
ゆっくりと暮れてゆくそらの斑から
犇くようなこえをきいた
肩になにかさわったなとおもい
それが君の手だと思い込むのに
まったく時間はかかりませんでした
だからわたしは触れませんでした
にあ という音をねこの声だと認識するのに
ぽつぽつと垂れてくる雫を雨だと理解するのに
しぬほど時間がかかりました
だってあの部屋に誰が暮らしていたか
知って、いるの、
わたしはきっときみだけを好きなのだとおもいます
遮光カーテンは重たい。直にさよならでしょう
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