合縁奇縁/千波 一也
 

今夜の雨は
いつもより遠い
気がしたのです

たぶん
わたしが降って
いたのでしょう

だれにも
干渉されまいと
狭いわたしが
いたのでしょう

他人はそれを
ときどき憐れみます

かつては
わたしも何度か
憐れみました

お互いさまとは
こういうこと
なのですね

合うも
合わぬも
いっときの
一滴、なのですね

ならば
明日の雨を
思案したところで
不毛というものです

せめてもの
お行儀よさで
わたしは今夜を
暮らしましょう

逃げつ
逃がしつ
夢でも語りましょう






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