好き、好き、好き、大ぁ〜い好きー2/草野大悟
 
かきや、ピアニカや、お遊戯や、そのほかの勉強でも私は一番だった。みんながまごまごそているのが理解できなかった。
「朱理ちゃんはすごいな。なんでもできるもんな。いつも一番だもんな。すごいな」
 なにをならせても鈍くさい田中明が、鼻水をすすり上げながらいってくれるけれど、私はちっとも嬉しくはなかった。明なんかに誉められてもねぇ。でも、ま、遊んでやってもいいかな。
 明の父親は、お寺の住職さんで、お爺ちゃんの命日には朝早くお経をあげに来て、ちょこちょこっとムニャムニャやって、母がいれたお茶を飲んで帰っていった。



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