「世界」/メチターチェリ
 
「海」を書いたら「波」があらわれ
「雲」を消したら「光」がさした
「木」の上には「鳥」がさえずり
「春」の木陰 疲れた「君」がねむってる

「ぼくらあの大草原の小さな家にふたり仲よく暮らそう」

「それは美しい夢ですね
 あなたのそのひとつづりの夢のなかにわたしは生きているのです」

けれどもかなしみは消えなかった

消えないかなしみは〈詩〉いう形に昇華され
彼はかなしみを糧に〈詩〉を書いた

それが正しいことなのか分からない

「麓」から続く「一本道」に沿って「菫」の花が咲いている
「ぼくらは手をつないで歩いていた」
やがて「ふたりを照らす太陽」が西の「山」に沈むころ
「世界」はオレンジ色に染まっていく
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