雨/salco
雨が降ると私は
主を失くした犬のように大人しい
夫を亡くした妻のように淋しい
世界は私と一体何の関連性があるのか
此処に生きている意味などあるのか
いや、予めの墓標に過ぎないのだと
そんな思いがして来る
抗えぬ自分になる
雨の浸透作用は孤と閉塞の自覚を促す
何故なら、子宮から出された仔は
もう保護されない
だから薄い天井に電燈を点け
過去から切り離された一点で雨音を聞いている
私という無一物
言語は無効だ
予め無効だ
私は誰だ?
眠るあなたという裸体
眠る裸体というあなた
あなたという裸体の眠り
それも儚く、幻影に等しい
私たちの邂逅は存在さえしな
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