残姿/木立 悟
巡りつづけるものたちの
行き来するものたちの歴史の羽
雨雲の胸に
水草の陰に育まれていく
生きることの終わりとはじまりに咲く花が
鈴のように鳴りわたる
葉の色はこぼれ
茎の色はこぼれ
贖いの土になってゆく
いのちのためのいのちではなく
ある日いのちになっていたもの
土と花のあつまりの丘
光を映した流れの源
荒れ果てた野にかがやいている
過ぎるものはある
過ぎるものは無い
遠い火が見え
想うものに落ち
からだから からだすべてから
ふるえるようによみがえる
紫に置かれた淡い黄が
小さくまぶしい黄金になり
秘められていた日々を照らしだす
額と背にはばたくもの
手足にそよぐものへと変わり
はじめてのふちどりに触れてゆく
星は風にたなびいて
終わりとはじまりの姿を見ている
残りつづけるものたちのうた
巡りくるものの手に咲きひらく
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