パラシュート/さすらいのまーつん
疲れた心がパラシュートを広げて
真夜中のコーヒーに着水した
生クリームの小島に横たわる天使が
ハスキーな声で 慰めの歌をささやいている
その羽を ゆっくりと打ち振りながら
ベイビー 俺は眠りたい
なのにこうして暗い窓を眺めている
胸の痛みが消えないから
コーヒーの湯気は 夜行船の霧笛
俺は椅子に腰掛けて 記憶の海に船出する
今日風に背中を押されながら 用水路のさざ波と走った
通りすがりの女が ちらりと投げた視線
冬の闇が迫ってきて 人々を家路へと追い立てる
その空はあくまで透き通っていて
星明かりの冷たさを 俺の目に押し付ける
戻る 編 削 Point(3)