パラシュート/さすらいのまーつん
 
 疲れた心がパラシュートを広げて
 真夜中のコーヒーに着水した

 生クリームの小島に横たわる天使が
 ハスキーな声で 慰めの歌をささやいている
 その羽を ゆっくりと打ち振りながら

 ベイビー 俺は眠りたい
 なのにこうして暗い窓を眺めている
 胸の痛みが消えないから
 コーヒーの湯気は 夜行船の霧笛
 俺は椅子に腰掛けて 記憶の海に船出する 

 今日風に背中を押されながら 用水路のさざ波と走った
 通りすがりの女が ちらりと投げた視線
 冬の闇が迫ってきて 人々を家路へと追い立てる
 その空はあくまで透き通っていて
 星明かりの冷たさを 俺の目に押し付ける

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