レクイエム/ララバイ/塔野夏子
 

    残っているのかもしれない)

どこからかいつも歌が聞こえていた
それはきっと
終わりつづける世界へのレクイエム
そしてその世界の片隅で震える
僕を眠らせるララバイだった

   *  *  *

時は流れ
研がれていた僕の輪郭もいくぶんやわらぎ
世界はもう 終わりつづけてはいない
少なくとも あの頃ほどはっきりとは

けれど時折 ふと耳によみがえる
あのレクイエム/ララバイが
不思議な甘やかさかなしさを帯びて
意識の深くへと昏くたなびく




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