私的な考察(私の中の基準点として記す)/蒲生万寿
 
優れた作品はその表現手段を選ぶことなく、絵画的であり、音楽的であり、文学的である。

受け手の感受する入口が違うだけで、感性のフィルターを通過して、本質へと伝わり、何らかの示唆を与えるものである。

時間の概念などいとも簡単に超え、数十年後、数百年後、あるいは数千年後も影響を与え続ける。それは鮮烈な生々しさを持つ有機物と言えるだろう。

その有機物は人の感性の中で成長し、増殖し、誰も知ることのなかった世界を感覚的に捉え、知らず知らずの内に進化させる。

進化したものは更なる拡がりと深みを有し、それによる波及は人口に膾炙されるに連れ、陳腐なものも余剰副産物として生じさせる。

本質を為す作品は複数の次元においても、無理無く存続する力となり絶対とも言える存在と化す。

それはあたかも一つの完結した世界観の生命として、ほぼ永久に存在する。

人間に対峙しながらも。
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