遠い未来/桜 歩美
 


もうくたびれて

谷底の暮らしも慣れてしまったようだ

だけど

ある日小さな坊やは言うのだ



「おかあさん ぼく 将来は美味しいお料理を作るコックさんになるんだ」



坊やには見えるみたいだ

希望の光ってやつが

私にはもう見えなくなってしまった光が

見えているんだ

坊やの瞳はキラキラ輝いて眩しかった



君ならなれるさ

とびきり美味しいやつをそのときはお願いするよ

坊やの今のその瞳のまんまで

お母さんのところへ美味しいお料理届けてね




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