霙/カズヤ
 
君は
たった独りで

この行き場の無い街の中を

頗る、寂しく
歩いてた。

そして、僕は
たった独りで

この行き場の無い街の中を

酷く、悲しく
歩いてた。

そんな
僕と君が、出会ってから

二人で

小さな愛を
育み始めた…。

あれから
月日が、流れて

軈て、何時の間にか
白い冬が、訪れて

この凍て付いた街の
交差点に

冷たく
透き通った霙が

仄かに
優しく、降った時

二人で

小さな幸福を
育んでる

二人の

この小さな部屋の
窓辺から

僕と君は

温かく
寄り添い合いながら

窓の外の

どこまでも、限りなく
高い空を

唯、黙って

まるで、二人で

遠い昔を
懐かしく、愛おしむように

じっと、静かに

見つめて居た…。

きっと、僕たち二人は

まだ、何も、知らない

本当に
鮮やかな、新しい明日を

ずっと、待ち遠しく

心から、深く
物凄く、堪らない程に

求めてたのかもしれない…。
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