詩作行為の倫理学/葉leaf
と利益の場合で分けて考えるべきである。詩作行為の結果としては読者への感銘付与という利益が主に問題となるが、その際に読者が詩作品自体を読むという行為が介在するため、読者の感銘に対して詩作行為の寄与する度合いは大きい。だから、その作品がいかに数奇な運命をたどろうとも、作品の評価は作者に大幅に帰属させてかまわない。
しばしば「詩を語る」ことの困難さが指摘されることがある。だが、人間の文化の所産として、詩を語りうる様々な明晰な理論枠組は多数存在するのであり、それらを用いて科学的に詩を分析することは可能である。私は本稿においてその一例を示したに過ぎない。容易に語りえぬことはあるとしても、語りうることは語りつくさねばなるまい。
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