詩作行為の倫理学/葉leaf
 
た、だから「転がった」結果を「石を投げた」行為に帰属させるのは、自然科学的な意味くらいしか持たない。行為論が問題とするのは、自然科学的な因果関係ではなく、価値的な因果関係である。つまり、石を投げたら人を傷つけた、そのとき、「傷つけた」という不利益を「石を投げた」という行為に帰属させる。あるいは、石を投げたら猛犬を撃退して人を救った、そのとき、「人を救った」という利益を「石を投げた」という行為に帰属させる。こういった利益や不利益の行為への帰属が、行為論が問題とする因果関係論である。

2.2.帰属の問題

2.2.1.不利益の行為への帰属

 まず不利益な結果が生じた場合の、結果の行為へ
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