親父の憂鬱/梅昆布茶
この世に過不足を感じないおやじにも
憂鬱はある
いまさら存在の不条理を
問い続ける姿勢も無い今
何だか自分の隙間を見つけられなくて
ウロウロしている
金は無いが多少の暇はある
飲み屋のつけも払ったし
時々は子持ちの彼女にも逢えるし
でもロックンローラーで
イージーライダーの星のもとに
生まれたかったのだろう
デビッドボウイのように
バイセクシュアルなスペースオディティをかなでたかったのか
あるいは山口組の若頭にでもなりたかったのか
親父はいま公園で鳩にえさを与えながら
ちょっとした憂鬱に
しんみり浸っているらしい
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