あたたかい亡霊たちのカンバス/ホロウ・シカエルボク
 

名を思い出せない
少女たちの不確かなワルツの足さばき
床のすみに残った爪のあとが
ねえ
ギリギリと
ギリギリと
泣き声を
あげているんだ




破れたソファーにかくれたネズミ、出口を忘れて腐敗するんだ
きみはいつか絶望的な朝におちいるだろう、でも恐れることはない
それはたまたま解明された一日というだけのことなのだから
誰かの手ちがいで垣間見えた
隠された絵画の色づかいの様なものなのだから








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