非日常/凪 ちひろ
怖い夢を見たような気がして
飛び起きたけれど
何の夢を見ていたかまでは
思いだせなくて
ぬくもりが欲しいと思ったけれど
誰もいなくて
もう一度
眠り直そうとしたときに
のどがカラカラになっていることに気付いた
ネコの絵がプリントしてあるマグカップに
水道水を注いで
ゴクゴクと飲みほしたとき
わたしの目が捉えたのは
白んできた空
ゆっくり ゆっくり 朝が近づいてくる
世界の始まる瞬間
オレンジ
ではなくピンク色の朝日に
マンションの窓辺で
ただただ見惚れた
すっかり明るくなったとき 少し迷い
けれども出社にはまだ時があったので
ふとんの引力には勝てなかった
目覚めたとき わたしはきっと
いつものわたしに戻ってしまっている
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