聖域なき未来に少女がみた世界/済谷川蛍
かのようだった。集団ヒステリー。男子生徒が鉄パイプを握った。そこに鉄パイプがあれば誰かが使わなければいけない当然の成り行きだった。突然、ゆりかごのうたのメロディーが大音量で流れ、生徒たちは首をあちこちに回した。
「なにこれ」
鉄パイプを持った男子生徒が音の発信地を見つけに行き、2人がそれについていった。「おい、ロボットだぜ」という声がサチコのほうにも聞こえた。
「うるせえんだよ!」
鉄同士が叩きつけられる音が響き、それでも音楽はなかなか止まらなかった。しかし段々と音が飛び、音量も小さくなっていき、とうとう何も聞こえなくなった。
「よっしゃ、止まった」
3人が戻ってきた。
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