夜と妄想/
ゆべし
青白い少女の額に広がった砂漠を進む柔らかな月
青白い夜を踏みわけいつからか銀の鱗でエラ呼吸して
どぶ川の面(おもて)を撫でる聖母の手 草枕する我に眠りを
一人分の影は夜気に溶けそうで 背中の子どもまた重くなる
鋼鉄の雲を切り裂く誦経の音 爛れた月の光がしぶく
境界のブロックをゆく 肩越しにバイクが過ぎて圧されて揺れて
テールランプは血走っている 革ジャンの背に触れたい指は風に叩かれ
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