旅路のひと/
恋月 ぴの
は鈍い光を放ちながらも夕闇と沈む
※
果たしてこの場所だったのだろうか
ここでは無かった気もするけど
いつかの日に訪れたはずの記憶を頼りに探し出す
わたしがわたしであった証
生きてきた痕跡
たとえ泥に塗れていたとしても
わたしがわたしであったとするなら、それを否定することは叶わずに
幸せとは時を刻んだ日々のひとつかみ
ほろ苦く噛み締める刹那にも訪れることを知る
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