蘇生/草野春心
 
分に
  口づけを与え
  何であれ、
  彼女が奪われたものを
  ひとつひとつ
  返してやることができるだろうかと



  そして私は
  恐る恐る一歩目を踏み出し
  女へと近づく
  十月の豊かな光は
  未だ膨張をやめようとはしない
  大きく
  太く、そして
  力強く
  生きるものすべてを
  貪ろうとでもしているかのように
  光は膨張をやめようとはしない
  私は
  女へと歩き
  近づき、
  近づき、
  近づき、
  近づいてゆく
  一体どれほど近づけばいいのか
  私には
  私たちには
  少しもわかっていない




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