孵化(一行)/桜 葉一
『色決め』
赤はアカン! 白にしろ!
『勝手にシンドバット』
買って、ニシン、どばっと。
『花占い』
好き 嫌い 好き 嫌い 好き ・・・・・・ 好き 好き 好き。
『君は星空よりも美しい』
というが、お前が空を見るのは花火のときぐらいだろう。
『天使の愚痴』
もぅ嫌になちゃう。人間は翼がほしいなんていうけど、翼の手入れって結構大変なのよ。
『陽だまり』
消しても消しても消えない 思い出。
『あかちゃん』
手が小さい。足も小さい。頭も顔も耳も鼻も口も目も体も小さい。服も小さい。泣き声はうるさい。
『寂び』
空き地に作った雪だるまが春になって錆びついていた。
『犯人』
観覧車が最上階で止まったので、自白しようと思った。
『孵化』
赤色の卵と青色の卵と緑色の卵を、ある割合でかき混ぜたら、ヒヨコが生まれた。
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