風のような彼女/佐藤伊織
 
その日は突然やってきた
いつまでも続くのかと思っていた
君はいつも笑わないけれど

はじめて手をつないだ
僕は泣いたけれど
君はじっと僕を見ていた

いつか必ず別れはくる
二人が出会ったその日から
必ずいつか別れはくる
その日が
たまたま今日だったんだよ

砂時計のようにひっくり返して
時が戻るようなら
どうか二人は
出会わなかったことにして欲しかった

さようなら
君は言った
さようなら 
と別れたあと

どこまでも空虚を抱えたまま
日常が僕を支配して行く

彼女は自分の最後の
戦いに独りで向かっていった

この戦いに独りで向かっていった













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