けつえき/雛鳥むく
 
大な手に捻り潰され
あらゆる警備は
水と共に流された


(切り落とされたはずの耳元で
かたかた

風車が鳴いている、)


振り仮名も
まるで隠喩のように
せつなく降り積もった
いくつもの辞書を
照らし合わせた差異が
かたかた

風車を鳴らして
わたし、たち
最低限の警備


「遺言、
の宛先をください、
それでようやく
赦される気がするので、」


それから
文明ごっこをつづけた
あの朝
詩情が死んだ
川のみぎわで
針金を伝う水滴の
行方を追うわたし(たち)
流れに沿って
散乱する手指
あらゆる凪いだ手のひらのうえ
かたかた

風車が鳴いている
(という
あざやかな隠喩を、)
 
 
 
戻る   Point(8)