けつえき/雛鳥むく
大な手に捻り潰され
あらゆる警備は
水と共に流された
(切り落とされたはずの耳元で
かたかた
と
風車が鳴いている、)
振り仮名も
まるで隠喩のように
せつなく降り積もった
いくつもの辞書を
照らし合わせた差異が
かたかた
と
風車を鳴らして
わたし、たち
最低限の警備
「遺言、
の宛先をください、
それでようやく
赦される気がするので、」
それから
文明ごっこをつづけた
あの朝
詩情が死んだ
川のみぎわで
針金を伝う水滴の
行方を追うわたし(たち)
流れに沿って
散乱する手指
あらゆる凪いだ手のひらのうえ
かたかた
と
風車が鳴いている
(という
あざやかな隠喩を、)
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