けつえき/雛鳥むく
詩情は朽ち木のように
川を裁断し
それを橋と呼んで
水を渡る
わたしたちの足は
いつまでも渇いたまま
濡れた手のひらのうえ
小さな風車が幾つも咲いて
わたしたちの語彙は
かなしいほど凪いでいるのに
かたかたとせわしく鳴いた
数えきれないほどの文明が
ほろびていったというのに
ここには筆記もなく
ただ
比喩として
羊皮紙が燃えてゆくのを
ていねいに数えつづけた
単位すら知らずに
咬傷は
あらゆる水のうえを
たおやかに泳ぎまわり
訃報の訃報だけが
凛、と
木霊して
わたしたちの
脆弱な王国は
あの朝
空から伸びる
巨大な
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