ステンド・バイミー/天野茂典
ペンキのような青空だ
缶コーヒーを買うために
外へでた 気持ちがいい
部屋ではソウル・ミュージックを聞いている
日曜日の朝
どこへも出かける予定もなくて
気ままに窓から外をみている
もう街路樹の葉も落ちて
クリスマス・ツリーもきらめく季節
京王線は今日も元気で走っているだろう
『田園の憂鬱』*だ
アーバン・ブルーズではない
カントリー・ブルーズ へい
ジョージア それにしても雲ひとつない
ぼくの布団も干された
お日様の匂いがしみこむだろう
ぽかぽかあったかいぞ 今夜は
外は
ペンキのような青空
柳川に白秋の生家を訪れた日は
雨だったっけ 傘差して水路をめぐった
一財産潰さないと文学者は成功しない
といった批評家は誰だ
こんなよい日に財産といったら
ペンキのような青空以外ないってことを
ソウル歌手なら誰でも知ってる
はなしなんだよ
上野動物園ではまだ風邪ぴきもいないってさ
*佐藤春夫の小説
2004・11・21
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