星の見る夢/雅寛
 
は無い、僕は不眠の朝に夢を見る。

僕等の見る星の甘い夢。
白く汚れたドレスを着た君が、
ヴァージンロードを歩く。
翼を焦がした堕天使の僕は、
血塗れのまま君を抱き締める。

キラめいた夢物語の中で、“僕等だけ”は望まれぬ再会をする。
戸惑う君の首に手を置いて、背中の傷跡に手を伸ばす、蛇の様に抱き締める。

全てを巻き戻す輪廻の中で、僕等は何度でも繰り返す。
全て気が狂れている、僕の甘い妄想の中で、何度でも君は僕と口付ける。

酷く短い喘ぐ事の無い甘い夢。
遠い何処かで少女を捨てた君が、
やっと僕に振り向く。
不細工な王子様の僕は、
目を閉じたまま君の名を呼ぶ。

白い朝も夜も来なかった。7月8日、君の誕生日。
夢の終わりに、僕の前に双子の天使が舞い降りる。
僕は、その翼を千切って、君の肉の再生を望むよ。
何もかも失った7月9日の気怠い何時もの弱い僕の朝に願うのさ。
繰り返しじゃない輪廻、今を、目の覚めた夢の続きを――。
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