まむれくし/
草野春心
まむれくし。
と、
きみが発話し、
鋏をいれたばかりの
あたらしい、
きみの
栗色をした髪と
まむれくし。
と、
震えた空気と、
秋の木々に
古びないうちに
と、
接近をこころみる
ぼくの、
手の皮が剥げてゆくよ、
意味不明の
まむれくし、に
抱擁をこころみる
恋におちたばかりの
あたらしい、
ぼくの、
爪がのびてしまうよ、
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